【アルファ・マーケット・レポート 決算解説シリーズ第二弾!~メルカリ~】メルカリ(4385)が本日急騰・上場来高値更新!!マザーズの年初来高値にも寄与!2月4日の決算発表から本日までの値動きを徹底解説!

Posted: 2021/02/16 | By: Yusuke Kuroiwa

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【メルカリ上場来高値更新】


 本日2月12日(金)にメルカリが前日比+10.79%の急騰、終値ベースで上場来高値を更新しましたね。メルカリは2月4日の引け後に21年6月期第2四半期決算を発表し、その翌日には窓を開けて下落、しかしそこから3日連続で下髭を付けた後に直近2日で大きな陽線に転じています。これにより本日のマザーズ指数を大きく押し上げ、マザーズ指数は年初来高値を更新しました。メルカリの決算後に投資家たちがどのような思惑で取引を行い、このような値動きになっているのでしょうか。決算内容とチャートの動向から分析してみたいと思います!


ポイントは以下の3点だと考えられます。


  • メルカリの決算への市場の評価

  • 決算後に誰が買い戻したのか

  • チャートの形



  • メルカリの決算への市場の評価


メルカリが今回発表した決算の定量的な内容をまとめると以下のようになります。


【今期2Q業績】

 四半期業績(前年同期比)

売上高:26,057 百万円(+41.3%)    

営業利益:1,006 百万円(黒字転換)        

経常利益:9,28 百万円(黒字転換)                              

純利益:-170 百万円(赤字縮小)                                  


2Q累計業績(前年同期比)
売上高:48,213 百万円(+46.1%)
営業利益:1,370 百万円(黒字転換)
経常利益:1,190 百万円(黒字転換)
純利益:4,111 百万円(黒字転換)


この結果から、売上高は四半期・累計共に堅調に推移している事がわかります。その半面、純利益に関しては2Q累計は昨年から黒字転換していますが、今回の四半期のみだと一転赤字を計上しました。さらに前回1Qの四半期では純利益4,281百万円を計上していた事を考慮すると、今回2Qでは赤字に戻ってしまった形になります。


メルカリ事業は、主収益源がメルカリアプリでの取引手数料なので、アプリ導入の初期段階にはユーザー数を増やすため多額の広告費をかける必要があります。日本でメルカリアプリが普及、前期4Qでようやく純利益が黒字転換し利益回収フェーズに入ったと思われていたところでこの決算内容は投資家には悪印象だったのではないでしょうか。


また、メルカリは他にもメルペイ事業とメルカリUS(米国でのフリマアプリ事業)を展開しています。メルペイ事業では、決済事業として競合であるPayPayの手数料率の低さによってユーザーがメルペイから流れるかもしれないという疑念、加えてPayPayの普及速度の速さが不安材料になり嫌気されています。メルカリUSは、アメリカの文化の違いやインフラ(コンビニや宅配)の質の低さに苦戦し、日本での普及速度と比べて進捗率が悪いのが現状です。


これらの内容と通期見通しが未だ非開示であることを市場が悪材料と判断し、翌日に短期で利益確定目的のホルダーが売りに走ったと考えられます。



  • 決算後に誰が買い戻したのか

それではいったい誰がそこから買い戻したのでしょうか。


大株主の保有比率の直近の動きを見てみると、米系投資銀行2社が新たに保有比率を高めていることが分かります。


メルカリの社長の長期の目標は、世界的な中古品取引プラットフォーマーになることです。なので積極的に海外展開していきたいのですが、アプリの普及には莫大な初期投資が必須であるため、参入してから普及するまでに力尽きる可能性が高いです。そこでアプリのネームバリューや信頼を最大限高めてから参入する為に、今は徹底的に資金をアメリカでの普及のために投資しています。直近の利益が赤字だとしてもアメリカでの事業が着実に進んでいることを考慮して、長期に保有目的の機関投資家が買いを入れたという予想ができます。


メルカリの長期的な成長を見込む投資家にとっては、今回の決算内容と決算後の下落は買い場と判断出来たのかもしれませんね。


  • チャートの形

最後に注目すべきはメルカリのチャートの形になります。


メルカリのチャートは非常に典型的な形をしていて、上場してから下落しましたが底値でダブルボトムを形成しています。そこから上昇に転じ、前期4Q決算以降は横ばいに推移、昨年10月から今年1月まででカップの形を形成しています。

カップの上値では2回チャレンジして下落に転じているため、上値の5,800円のラインは相当意識されていました。そして今回の決算後に上昇に転じたことがわかると、上値を超えるという思惑が広がり個人投資家の大量の買いが入り、今回の上場来高値につながりました。


【まとめ】

こうしたそれぞれの投資家の思惑の流れがあり、結果的に本日のマザーズの上昇にも大きく寄与したと考えられます。



今後は、意識されていた上値を突破したことで利益確定売りが入ることや、本日引け後に多くのマザーズ銘柄が決算発表したことで出来高が増えて市場が不安定になることが予想できるので、下落に転じた際に今回突破した上値で反発できるかという点に注目したいですね、長期的にはメルペイの決済市場のシェア争い、US事業の進捗率の動向が気になるところです。




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